「IBDの母親から生まれた1000人の子供を5年間追跡した健康調査結果」という論文を読んでの感想と翻訳メモと。

こんにちは、難病系フリーランスオカンのくわっちです!

Health outcomes of 1000 children born to mothers with inflammatory bowel disease in their first 5 years of life
Objective The aim of this study was to describe the long-term health outcomes of children born to mothers with inflammatory bowel disease (IBD) and to assess th...

先日IBDの新しい論文として、オランダから興味深い論文が発見されました。

が、私は英語読めないし書けないし、なんなら医療関係者でもありません。DeepL翻訳とGoogle翻訳を駆使して読んでいます。

あくまで数字をつらつらと追いかけて、もしあれば日本の論文を提示するくらいにはなりますが、調査結果の簡単な翻訳と個人の感想を述べていこうと思います。

もう一度言いますが私は医療関係者ではないので、この情報をそのまま鵜呑みにせず各論文やURL遷移先をご参照くださいな!

あと超長いですごめんなさい!

論文(英語も日訳も)は視認性向上のため適宜改行を入れています。論文のCC BY 4.0ライセンスに基づき掲載しています。

調査対象となった患者と子供の内訳

Objective The aim of this study was to describe the long-term health outcomes of children born to mothers with inflammatory bowel disease (IBD) and to assess the impact of maternal IBD medication use on these outcomes.

https://gut.bmj.com/content/70/7/1266

目的:この研究の目的は、炎症性腸疾患(IBD)の母親から生まれた子供の長期的な健康状態を説明し、母親が使用していたIBDの治療薬が子供の健康状態に影響を与えるか評価することである。

Design We performed a multicentre retrospective study in The Netherlands. Women with IBD who gave birth between 1999 and 2018 were enrolled from 20 participating hospitals.
Information regarding disease characteristics, medication use, lifestyle, pregnancy outcomes and long-term health outcomes of children was retrieved from mothers and medical charts. After consent of both parents, outcomes until 5 years were also collected from general practitioners. Our primary aim was to assess infection rate and our secondary aims were to assess adverse reactions to vaccinations, growth, autoimmune diseases and malignancies.

https://gut.bmj.com/content/70/7/1266

設計:オランダにある多数の施設で共同の後ろ向き研究(レトロスペクティブ研究。疾病の要因と発症の関連を調べるための研究手法の一つだそうです)を行いました。1999年から2018年の間に出産したIBD患者の女性とその子供の情報をオランダ内の20の病院から登録しました。
疾患の特徴、使用した薬、ライフスタイル、妊娠中の健康状態、子供の長期的な健康状態に関する情報を、母親自身からの聞き取りや医療カルテから取得しました。両親の同意を経て子供の5年間の健康状態も開業医等から収集しました。
主目的は子供の感染率の評価で、サブミッションとして予防接種や子供の成長、自己免疫疾患の発症、悪性腫瘍などのIBDに類する副反応を評価することにしました。

調査対象となった人数とその情報

In total, we included 1000 children born to 626 mothers (381 (61%) Crohn’s disease, 225 (36%) ulcerative colitis (UC) and 20 (3%) IBD unclassified). Eight twin pregnancies were included.

https://gut.bmj.com/content/70/7/1266

この調査では合計で、626名の母親から生まれた1000名の子供を調査対象としました。
母親のうち381名がクローン病(63%)225名が潰瘍性大腸炎(36%)20名がIBD unclassified(IBD識別困難例、3%)でした。このうち8例は双子を妊娠した調査結果が含まれています。

Overall, 196 (20%) children were exposed to anti-TNF-α in utero (115 infliximab and 81 adalimumab); 86 mothers stopped anti-TNF-α in the third trimester and 110 mothers continued anti-TNF-α during the third trimester.

https://gut.bmj.com/content/70/7/1266

1000人の子供のうち、196名が胎内で抗TNFαに暴露されており(20%)、その内訳はインフリキシマブ(薬剤名レミケード)が115名、アダリムマブ(薬剤名ヒュミラ)が81名です。
86名の母親が第3期(いわゆる妊娠後期。妊娠28週~40週)までに抗TNFαを中止し、110名の母親は第3期(妊娠後期)にも抗TNFαを継続しました。

「関節リウマチ(RA)や炎症性腸疾患(IBD)罹患女性患者の妊娠、出産を考えた治療指針の作成」研究班事務局による医療向け治療指針「生物学的製剤使用時の注意点は?」指針に詳しく書かれていますが、妊娠中の抗TNFα薬投与は各国でもさまざまな議論となっているようです。
ただし胎盤を通り抜けて胎児に移行するため、

抗TNFα抗体製剤は、妊娠中の全期間において使用は可能である。ただし、妊娠末期まで使用した場合は胎盤移行による児への影響が考えられるため、出生後6ヶ月に達する前のBCGやロタウイルスワクチンなどの生ワクチンの接種を控えた方が良い。

医師向け治療指針│SLE、RA、JIAやIBD罹患女性患者の妊娠、出産を考えた治療指針

となっています。

were 136 (14%) children exposed to anti-TNF-α monotherapy, 240 (24%) children to thiopurine monotherapy and 60 (6%) children to the combination of anti-TNF-α and a thiopurine.
There were 155 children exposed to systemic corticosteroids during pregnancy

https://gut.bmj.com/content/70/7/1266

1000人の子供のうち、抗TNFα単独で治療を受けた子供は136名(14%)、チオプリン製剤単独で治療を受けた子供は240名(24%)、抗TNFαとチオプリン製剤を併用して治療を受けた子供は60名(6%)でした。
また、1000人の子供のうち、ステロイドに暴露された子供は155名(15%)でした。

このあと表1に母体の罹患状況や服薬状況、合併症や手術歴の有無が書かれていますがここでは省きます。気になる方は是非目を通してみてください。

妊娠に伴う妊婦の合併症

報告されたすべての妊娠合併症の数です。妊娠に伴う合併症は表に書いてあるようなものでした。
チオプリン製剤を使用していない女性(n=4、0.6%)よりもチオプリンを使用している女性(n=12、4%)の方が肝内妊娠胆汁うっ滞(ICP)の割合が高いことが分かっています。(p <0.01)

出産時における合併症

出産時の合併症の例です。1000例のうち530例で正期産での経膣分娩が行われ、残りの470例でなんらかの合併症や経膣分娩以外の出産方法が選択されています。
帝王切開は291例(29%)が報告されました。そのうちの107例(37%)はIBDやIBA合併症に起因しています。肛門周囲痔瘻疾患(n=86)、回腸嚢肛門吻合(n=16)、疾患活動性(n=3)およびストーマ(n=2)などです。

妊娠前になるべく体調を整え寛解期を迎えて妊活に望むのが理想ですが、妊娠中に悪化したり、悪化している状態で妊娠する場合もあります。複雑瘻孔を持っている方や狭窄、オペ歴のある方は医師としっかり相談して慎重に治療とライフスタイルを選択していく必要があると言えそうです。

肝内妊娠胆汁うっ滞(ICP)に罹患した母体の分析

研究班は肝内妊娠胆汁うっ滞(ICP)に罹患した母親から生まれた子供の分析をしました。ICPを持つ母親から生まれた子供は16人で、そのうち75%に当たる12人が妊娠中にチオプリン製剤を使用していましたが、この12例からは子供の先天性異常などは報告されていません。
ICPを持つ女性は、ICPを持たない女性(n=109、11%)に比べて早産が多く(n=8、38%)(p<0.01)、ICPを持つ女性は、ICPを持たない女性(n=283、29%)に比べて帝王切開が多かった(n=9、56%)(p=0.03)ことがこの研究から分かっています。

生後5年までの子供の調査結果は?

ここからは子供についての記述をかいつまんでご紹介していきます。
おおよそ「関連性は見受けられなかった」という結果なので、あくまでさらっと紹介していきます。

子供は風の子

There were 444 antibiotic courses reported per 1000 person-years. The following infections were most often reported: 502 (42%) ear, nose and throat (ENT) related infections and 441 (37%) respiratory tract infections.

https://gut.bmj.com/content/70/7/1266

1000人の子供から1年あたり444件の抗生物質投与が報告されました。最も多かったのは耳・喉・鼻などの風邪症状(502例、42%)で、次いで呼吸器系の感染症(441例、37%)でした。

入院は1歳までが多い

Hospital admission due to a severe infection
In total, 107 (11%) children were admitted to hospital because of a severe infection of who six were admitted twice. Hospital admission per treatment group was as follows: 13 (10%) in the anti-TNF-α monotherapy group, 30 (13%) in the thiopurine monotherapy group, 6 (10%) in the combination group and 58 (10%) in the control group. Median age during first hospital admission was 6 (IQR 6–18) months. Hospital admission occurred most often in the first year of life (n=76, 69%).
The reasons for hospital admission were mostly an acute respiratory tract infection (n=37, 31%), viral infections (n=27, 23%), fever (n=15, 13%), urinary tract infection (n=10, 8%) or sepsis (n=9, 8%).

https://gut.bmj.com/content/70/7/1266

合計で107人(11%)の子供が重度の感染症で入院を経験しました。このうち6人は生後5年経過までに2回入院しています。治療群ごとの入院の内訳は次のとおりです。抗TNF-α単剤投与群では13名(10%)、チオプリン単剤投与群では30名(13%)、併用療法群では6名(10%)、対照群では58名(10%)でした。初回入院時の年齢中央値は6カ月(IQR6~18)で、入院は生後1年目に最も多く発生しています(76例、69%)。
入院の理由は、急性気道感染症(37例、31%)、ウイルス感染症(27例、23%)、発熱(15例、13%)、尿路感染症(10例、8%)、敗血症(9例、8%)でした。

息子は生後1ヶ月でノロウイルスに罹患し入院しましたが、子供が幼ければ幼いほど急変を起こす可能性があるため「念のために…」と入院になることがあります。これは健康な母親も同じです。突然の子供の入院、きっとオランダでも育児あるあるなんだね。

自己免疫疾患と悪性腫瘍の発症は?

There was 1 (0.1%) child diagnosed with an autoimmune disease: diabetes mellitus type 1 at the age of 4. This child was born to a mother with UC who did neither use IBD medication during pregnancy nor experienced disease activity during the pregnancy.
There were 2 (0.2%) children diagnosed with a malignancy; a rhabdomyosarcoma of the left orbita at the age of 3 and leukaemia at the age of 2. Both mothers were diagnosed with UC. Both mothers used corticosteroids during the entire pregnancy and the mother of the child with a rhabdomyosarcoma used azathioprine during the entire pregnancy. None of the children born to mothers with ICP had an auto-immune disease or malignancy.
Overall, autoimmune diseases and malignancies does not seem to be associated with maternal IBD treatment during pregnancy.

https://gut.bmj.com/content/70/7/1266

自己免疫疾患としては、4歳で1型糖尿病と診断された子どもが1名(0.1%)いました。この子供UCの母親から生まれたもので、妊娠中にIBD治療薬を使用しておらず、妊娠中に疾患の活動性も見られませんでした。
悪性腫瘍と診断された子どもは2名(0.2%)で、3歳で左眼窩の横紋筋肉腫、2歳で白血病と診断されました。両者とも、妊娠期間中はコルチコステロイドを使用し、横紋筋肉腫の母親は妊娠期間中にアザチオプリンを使用しました。ICPを持つ母親から生まれた子供には、自己免疫疾患や悪性腫瘍はありませんでした。
全体として、自己免疫疾患や悪性腫瘍は、妊娠中の母親のIBD治療とは関連していないようです。

結論

In our multicentre retrospective study assessing long-term health outcomes of 1000 children born to mothers with IBD, we found that anti-TNF-α and/or thiopurine use during pregnancy does not affect birth outcomes and the following long-term health outcomes of children: antibiotic-treated infections, severe infections needing hospital admission, adverse reactions to vaccinations, growth failure, autoimmune diseases and malignancies.
We, however, did find an association between thiopurine use during pregnancy and intrahepatic cholestasis of pregnancy, without affecting birth outcomes and long-term health outcomes.

https://gut.bmj.com/content/70/7/1266

この研究では、IBDの母親から生まれた1000人の子供の長期的な健康状態を評価する他施設共同後ろ向き研究を行い、妊娠中の抗TNFαまたはチオプリン製剤の使用は出生時の状態および子供の長期的な健康状態(風邪などの感染症、入院を必要とする感染症、予防接種の副作用、成長不全、自己免疫疾患、悪性腫瘍)などに影響を与えないことを明らかにしました。
しかし、妊娠中のチオプリン製剤の使用と妊娠中の肝内胆汁うっ滞発現との間にはなんらかの関連性が認められることがわかりました。

IBDと妊娠について私が思うこと

「IBDと妊娠」というワードを聞いたときに、妊娠に至るまでのことや妊娠中、そして出産に至るまでの部分について想像しがちかなと思います。
ですが、私は「本番は産んでから」ということを力強く繰り返しお伝えしていきたいなと思って色んな所でいろんな情報をもらったり渡したりしています。

妊娠して出産して終わり、じゃない
子育てひとつとっても、やれ入院したり風邪引いたり親に移したり、ま~~~~とにかく色々あります。IBDの親は間違いなく子供からしょっちゅう風邪をもらいます。4半期に1回とか2ヶ月に1回とかね。

この論文で(外国のものではありますが)産後5年の子供たちの経過が分かりましたが、日本ではこんな風に大規模の追跡調査はまだ行われていません。(もし行われてたら是非教えて下さい!)

が、この論文を読んで「安心して出産できそう」と思った方がいたら是非妊娠について前向きに考えてほしいし、ちょっとでも産後の生活について思いを馳せてもらったらいいかな、と思っています。



ここまで読んでいただきありがとうございました!
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